有馬温泉の温泉

有馬温泉の“温泉”について  これで有馬の温泉博士になれるかも?

有馬温泉を考える上で、一番の特徴はもちろん有馬の「温泉」である。世界的な稀有な温泉だ。

一言でいえば「湧くはずのない所に、湧くはずのない湯が湧く」

有馬の温泉は海水の1.5倍から2倍の塩分濃度があり、ヘリウム3が含まれている。それは、地下の上部マントルから湧き出ている事を意味する。

第二次世界大戦中、有馬の温泉からリチウムをとりだす研究がされていた。炭酸泉源公園の近くに『泉の科学』の碑があり、当時の日本を代表する理学者達の名前が彫られている。一年間の湯量で日本が輸入していた総量がまかなえるだろうと言われていた。リチウムは鉄に混ぜ武器弾薬に使われていた。また抗鬱薬でもあるので、有馬の温泉に入るとリラックス出来るのも納得がいく。

このように地下深くの成分が含まれた温泉なのだが、なぜか近畿地方に火山はない。

火山がないのにどうして有馬の温泉が出てくるのか!?

地球の表面は固いプレート(岩石の層)で覆われ、7つの大きなプレートといくつかの小さなプレートに分かれている。

プレートには陸のプレートと海のプレートがあり、日本列島は4枚のプレートの衝突部にあって、日本海溝や南海トラフの沈み込み部分で巨大地震が起こっている。

また日本列島の下に太平洋プレートが沈み込む為に日本列島は世界有数の火山列島にしている。

火山の種類は三種類あり、ハワイ島に代表されるホットスポットとよばれるタイプ。

海嶺とよばれる大洋の底にある海底山脈。

そして島弧とよばれる火山のタイプが日本列島だ。地球儀を見てみると日本列島は弓なりになっている。

リンゴをナイフを使って皮をむくとすると切り口はどうなるだろうか?

直線でなく弓なりになる。海のプレートが陸のプレートの下に沈み込む時、切り口は弓なりの弧になる。

2011年3月11日マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が起こった。

三陸沖(牡鹿半島の東南東、約130㎞付近)深さ24㎞。

東北地方は島弧の典型的な見本だという。

東北地方の東側の日本海溝に太平洋プレートが沈み込む。海のプレートが陸のプレートの下に沈み込み、深さが110kmに達した時、プレートからの脱水は、その上部のマントルの融点を下げマントルの一部分を溶かして上昇し、マグマだまりが出来る。

マグマだまりがいっぱいになると、地表に噴出して火山となる。さらにプレートが250kmに達すると、110kmで脱水しなかった別の鉱物から脱水上昇し、マグマだまりとなり火山が出来る。同様300kmでも火山が出来る。

東北地方は3種類の火山が並んでいるのが良くわかる。太平洋側から北上山地、奥羽山脈、越後山脈と並んでいる。

ところが近畿地方に火山はない。またかつては火山、休火山、死火山という分類がされていたが、現在では活火山か、否かの二者択一。

紀伊半島の南側でフィリピン海プレートが日本列島の下に沈み込んでいるのに、どうして近畿地方に火山がないのか!?

沈み込んだプレートが60kmの深さの所で、先の方がない。110㎞に達していないのでマグマは出来ない。

これは地震の種類と震源でちぎれていると推定される。その60㎞の直上の地点がちょうど有馬温泉だという。

白浜温泉の温泉は有馬の温泉と同じような温泉だが深さが30㎞。陸のプレートの厚みが25kmというので白浜温泉の温泉はその境から湧出するのに対して、有馬はもう30㎞深い。つまり上部マントルの成分を含んでいる量の違いが、有馬と白浜の温泉の違いという事になる。

断層内で起こる地震の観察結果、断層は深くて14km。陸のプレートの厚みは30㎞だから、断層の下の陸のプレート16㎞は、一つの岩盤の塊になっている。

すると上部マントルから有馬の温泉はどうやって断層の所まで上がって来るのかという疑問が湧く。

シチューやカレーを煮込んでいる時、なべ底から気泡があがってくるように、上部マントルから陸のプレートの岩盤を貫く火成岩の岩脈が他の岩盤よりも密度が低く、この部分がトンネルのように有馬の町下にある断層まで繋がっていると考えられている。

60km下の上部マントルは高温と高圧力の世界。有馬の温泉は特殊な物質を溶かし、液体と気体の両方性質を持つ超臨界水の状態になって上昇し、この岩脈の周辺を一気に地表まで到達すると考えられている。

このトンネルが有馬の中心部に存在している。そのトンネル部分につながる断層から世界的に珍しい温泉がわき出でる。この温泉を「有馬型温泉」という。

有馬型温泉は、有馬の中心街を取り囲む三角形をした地域にだけに湧出し、そこから離れた有馬周辺に湧き出る鉄分を含み加熱すると酸化して赤茶色になる鉱泉は、古海水型の温泉で、此処で言う所の稀有な「有馬型温泉」とは全く違う温泉である。

今後の重点課題として有馬型温泉の有効活用を図らなければならない。

この中心の三角地帯でさえ、中心近くは少量で高温泉が湧き、少し離れると温度が若干低くなるが量も少し増えてくる。もう少し離れると温度は低いが量はそこそこ確保できるという状態である。

このような温度と量の異なる同じ種類の温泉をうまく混合させ、均質化と量の確保をすべきだと考える。

先述した他地域から単純に有馬の温泉のような色になるという理由だけで、古海水型の湯を運んできて使用する事は、「有馬型温泉」と紛らわし状態になる為に避けるべきだと考えている。

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