“有馬温泉”という名称は、有馬以外の地域で温泉を有する宿泊施設。また入浴施設で名乗る事は出来ません。
タイの首都バンコクの繁華街に“有馬温泉”というマッサージ屋があります。今はどうかわかりませんが昔はサウナや浴場がありました。インターネットで「有馬温泉」と検索するとけっこう上位に出てきます。日本人向けにマッサージ屋を開店しようとして「どのような名前が良いだろうか?」と聞いた日本人が大阪の人だったので。その人は「“有馬温泉”だったら日本人は誰でも知っているのでどう?」といったそうだ。
この話は長年タイに住んでいる日本人から聞いた話です。
もしこの様に“有馬温泉”という名称を日本国内で付けると問題になるのです。つまりこの“有馬温泉”という地域団体商標を持っている有馬温泉旅館協同組合の許可がいるのです。
同様、有馬の温泉をさす“金泉”“銀泉”も有馬温泉旅館協同組合が入浴施設や入浴剤の商標を持っています。だから赤茶色い入浴剤をつくって勝手に「有馬の金泉」や「有馬の銀泉」と名乗る事が出来ないのです。
よく気を付けて頂くと有馬温泉の宿泊施設でも、有馬温泉○○というように名乗っている所と有馬○○と“温泉”が付いていない所があります。
付いていないという事は、許可を持っていないという事で、有馬温泉への地域貢献をしていない所には許可を出していません。
御所坊は摂津有馬という言い方をして有馬温泉と表記していない事もありますが、これは別ですよ(笑い)
何故? この様な事をするか!?
みんなで苦労しながら長い期間をかけて有馬温泉をつくって来たのです。例えば今夏休みですが有馬温泉の事業者は力を合わせて夏まつりを開催し、有馬涼風川座敷に交代でボランティアに出かけています。
その様につくって来たまちに、突然やってきてエエトコ取りをするような事はなかなか許しがたいのです。地域貢献をしないで有馬温泉の出来上がった名声に便乗して外資が流入する事は避けたいのです。それを許すと誰もばかばかしくて地域貢献をしなくなるかもしれません。
現実に外資が多く流入している温泉地は、各施設それぞれ努力はしているものの全体でのまちづくりは進まなくなってしまっているようです。つまり地域として衰退して行っていると思われます。
その様な中、有馬温泉のすぐ近くにある企業の保養所が旅館に準ずる営業をするから有馬温泉観光協会に加盟したいという連絡が入りました。
これは問題があると判断した事務局は組合に連絡、有馬温泉旅館協同組合はさっそく調べて「有馬温泉にないのだから(有馬と隣の街)有馬温泉という文言を削除して欲しい」と申し入れました。
またネットエージェントのサイトにも“有馬温泉”の所に表示されていたのでネットエージェントの担当者に「有馬温泉のエリアからは外して下さい」と申し入れしました。
現在、兵庫県の温泉でこの様な地域団体商標を取っているのは有馬温泉と城崎温泉だけです。
地域の知名度を上げる事は外資を流入させる事につながります。そうなると街の衰退につながっていくと考えています。だからディフェンスの一つの策として、このような事を行っています。
つまり「明石鯛」「神戸ビーフ」「灘の酒」等と違う商品にそれらの名前を使う事を許さないシステムなのです。