『脳から考える観光』 脳内学者の茂木健一郎氏の「旅のクオリア・観光地のクオリア」という対談が載っていた。
クオリア・・・って何やねん。心の中で感じるさまざまな質感・・・点から面へのトータルな充実・・・
良く理解が出来ないし、ピントがボケているかもしれないがクオリア探しを始めた。
とりあえず受け売りで報告書に書かれていた、アイラウイスキー蒸留所の取材での出来事を話をする。
従兄が某酒造メーカーに勤めていた。その彼が仕事の関係でアイラウイスキー蒸留所巡りをした事があり、詳しくその話を聞いたことがあるので、報告書に書かれている情景が目に浮かぶ。(ボウモアの画像を探していたら、茂木さんの画像が出てきた。勝手に拝借した。・・・でも同行者・・・実は従兄もここでデザイナーをやっていた。茂木さんのブログにリンクしています)
話は、茂木さんが「ジンジャー」っていうあだ名の赤毛のおじいちゃんと、ウイスキーの香り付けに使用するピートを掘り出す仕事を一緒にした。
そのおじいちゃんが「これでおまえはピートカッティングをした事を子供や孫に自慢できるな・・・かつておじいちゃんはアイラ島でピートカッティングをしたんだぞと言いながらウイスキーを飲む事が出来る。」
その時に茂木さんはクオリアを感じたという。
ボウモアウイスキーを売ろうとすると歴史やブランドの価値観を説明する販売方法があるが、それを知っても本人は何も変わらない。しかしジンジャーおじさんと荒野で風に吹かれながらピートカッティングした事や経験で自分は変わるという。それが旅のだいご味だという。
・・・とまあ難しい報告書を読みながら自分なりに「クオリア」を探している。
昨年の秋に突然開催した「本場三田の松茸狩り」。松茸なんか採れないのに大丈夫かな?と思った。
松茸山に行ったが採れなかったがお客様は喜んで頂けた。
それはキャメルトロフィーのように、ガタガタ道をブッシュで車のボディーをこすりながら、松茸山の入口まで向かった。
道なき山を登って・・・結局山の上で好天に恵まれながら、おにぎりを食べた。
宝は見つからなかったが、最高の宝さがしになったのだろう。
ピート掘りは決して楽な仕事ではないだろう。有馬の温泉の配管掃除も大変な作業。応募者は無いだろうと思って始めた温泉掃除体験。しかも有料にした。
「美味い物食って、温泉に入る・・・それは何処でもできる。その時に目に付いたのが温泉掃除体験だった!」とお客様に言われた。
3月で5組のお客様が体験された。きっと「有馬の温泉は世界的にも珍しく、スケールがすぐ付く。大変な温泉で、その温泉掃除をやって来た・・・」と何回か人に語って頂けるだろう。
それは僕がブータンの温泉に行って、その話を何人かにしているのと同じ。
簡単に行けて、美味しい物食べれて、快適に過ごせていたら、まったく他の人にしゃべる事は無いだろう。貴重な体験が食事や宿泊よりも勝っているのだ。
今回3月に行った企画。本当はもっと体験してもらいたい企画があったのだが、温泉掃除体験はインパクトがあったのだと思う。
考えてみればこのようなネタはいくつか浮かぶ。自分のクオリアを信じて、自分が良いと思う旅や経験を提案していこうと考えている。
神戸ビーフのルーツを巡る旅。イヌワシを見る旅。漁場で買い付けして、大事な人をもてなす祝いの旅等・・・・