バービードールが神戸市のポスターに採用された時。マテル社は「バービーのイメージにぴったりだ!」という事でロイヤリティーが発生しなかったというポスターがあります。
3部作で、有馬温泉の紹介で使用されたのが御所坊の金郷泉です。これはテレフォンカードの画像です。
露天風呂の解放感と家族で楽しめる混浴風の温泉として有名・・・だと思います。それを詳しく説明いたします。
【 有馬の温泉は赤茶色い! それを金泉(きんせん)とよんでいる。 】
有馬の温泉は塩分と鉄分を多量に含んでいるので、湧出時は無色透明ですが空気に触れて酸化して赤茶色の色をいたします。
この昔は温泉の色を見て「あー今日は良い温泉が来ているな・・・」とその日その日の温泉の状況をチェックしていました。
有馬温泉の中心部に神戸市が所有する6つの泉源があります。天神泉源・御所泉源・妬(うわなり)泉源・極楽泉源・有明泉源1号・2号これらの泉源は昭和22年に有馬町と神戸市が合併し23年~30年にかけて泉源開発を行い湧出したものです。
それまでは太閤秀吉も谷崎潤一郎も、金の湯の前の飲泉のような温泉に這入っていました。
泉源名はその土地の所有者の名前を付けた様です。御所泉源の土地は元々御所坊の所有地でした。今でも御所泉源に隣接した家屋があり、現在はその一階が温泉の貯湯槽で二階が温泉の家族風呂にしています。それが湯屋 松風です。
御所泉源の横に円形のコンクリートの塊がありますが、これは各旅館に温泉を分配する為の装置です。ここには妬泉源とオーバーフローした極楽泉源の温泉と御所泉源の温泉が集まってきます。
御所坊グループでは、配湯槽からすぐに隣りの湯屋松風の1階にある貯湯槽に温泉が貯め、必要に応じてホテル花小宿や御所坊の各浴槽に温泉をパイプで送っています。有馬山叢 御所別墅はパイプというわけにいかず、タンクローリーで温泉を運んでいます。
御所坊の立地は泉源に近くパイプで温泉を送り易い事から、良質の温泉が充分配湯される状態でした。その為温泉を目的のお客様には昔から好評でした。そこで金泉の不透明な温泉の特性を活かした浴場をつくりました。それが金郷泉です。
特に御所坊の温泉は濃く源泉を100%使用していますので、温泉につかるとボディーラインは全く見えません。女性専用の浴槽から首までつかって表の方に移動して頂くと、男性の御家族などと話をしながら温泉を楽しんで頂く事が出来ます。
ご夕食前など時間をうまく合わせる事が出来るので便利だと思います。男女の境は限りなく異性が安心できる距離といわれる60センチを確保しています。これはスナックのカウンターの幅だといわれています。
気候の良い時等は全面の透明シャッターを開ける事で、外気に触れられ露天風呂の風情を味わう事が出来ます。
桜の時期は御所坊の玄関前にある善福寺のしだれ桜を見る事が出来ます。夜間はライトアップされます。
【 御所坊独特の温泉の温度維持管理方法 】
御所坊の温泉は濃いのですが、それは同時にスケールが付きやすいという事です。
配湯槽から浴槽まで、毎週道路の下に埋められている配管を掃除していきます。二人でやっても半日仕事。結構時間のかかる仕事でした。
最初は竹を割って繋いだもので配管の中をつついていました。その後高圧洗浄機を使ったり、研究費用というかお金をかけて維持管理方法を模索してきました。
現在解決しましたが、平成19年・20年頃から泉源の調子が悪くなり、スケールの付着が激しくなり、又湯量も極端な差が出だしました。
そこで御所泉源の隣りを改装し貯湯槽を設置するとともに、湯量や温度が変化あっても入浴に適した温度を保つシステムを考案致しました。
左下にある浴槽の温度が下がると、温度計から指令が行き浴槽の横にあるサブタンクのバルブを開けます。このタンクで温泉の温度は60℃ぐらいはあると思いますので、レジオネラ属菌の心配は皆無です。
サブタンクから浴槽の下の方に温かい温泉が供給されて、浴槽の上から温泉は外に流れて行きます。
常に温泉が流れていないので「かけ流しですか?」という質問が来るのはこの為です。60℃ある温泉を見えるぐらい入れていますと熱くなって入浴できなくなってしまいます。
そしてサブタンクの湯量が無くなると御所泉源の横に設置してある温泉の貯湯槽に指令が行き、サブタンクに温泉を補充する事になります。
泉源からの温泉が少ない時は浴槽の透明シャッターを閉じて、出来るだけ温泉の温度を冷まさない様にして、反対に湯量が多い時は、出来るだけシャッターを開けて浴槽の温泉の温度を下げて、新しい温泉をどんどん入れるようにしています。
このようなシステムを構築する事が出来るのは御所坊だけだと思います。