映画「ヒューゴの不思議な発明」と有馬温泉、有馬玩具博物館がタイアップしました。
「何故? アカデミーショー最有力候補の映画と有馬が!?」
・・・と不思議に思われる方は多いと思います。
この映画はオート・マタと呼ばれるからくり人形は重要な役を演じます。そのオート・マタの世界的なコレクションを保有しているのが有馬玩具博物館です。その様な事から今回のタイアップに繋がったのです。
「何故? 有馬玩具博物館が世界的なオート・マタのコレクションを持っているのか?」
これだけのコレクションが集まった一番の要因は、亡き前館長の西田明夫氏がいたから出来た事です。彼は世界のオート・マタ作家が認める日本を代表するオート・マタ作家でした。イギリスで作家の集まりに招待され、たまたま横の席に座ったのがジョン・ブランダールさんでした。彼は神戸で能面を打つ修行の際に人形浄瑠璃にも興味を持ち、研究をしてイギリスに帰りました。ちょうどその頃に、人形劇の人形の制作依頼を受けたのです。そこで人形浄瑠璃の動きをする人形を提案したのです。そして採用されて出来たのが、あのサンダーバードなのです。
西田さんはブランダールさんに「貴方の思い出の神戸に、おもちゃの博物館を作るから、貴方の代表する作品を提供してほしい。その代わり僕のオート・マタをプレゼントするから」と物々交換をしたのです。他のオート・マタも同様に集められました。
「何故? オート・マタは知られていないのか?」
・・・というか作品自体が世界でも少ないのです。その理由はアート的な感覚的に楽しいモノを作る一方、それらは動かないとだめです。つまり機械工学の知識も必要です。その両方を併せ持った考え方が出来る人しか作れないのです。
そして作品によっては国民性や世相を知っていないと楽しめない作品もあります。それを知らない人には、何が面白いのかわからない事も多いと思います。
「オート・マタには、それぞれストーリーがある!」
オート・マタの魅力を紹介する一つとして、イギリス人のポール・スプナーさんの「スパゲッティ・イーター」を例に挙げます。
単純にスパゲッティーを食べているだけです。
「何が面白いの?」と思う方は多いのかもしれません。
改めて見て頂くと、スパゲッテイを食べるのに頭をセンター分けにした人がパンツ1枚で食べているのです。
熱くて汗をかくのが嫌なのでしょうか?
・・・ではなく、パンツの柄がイタリアン・カラー。頭をセンター分けしているのは、真面目なイギリス人を表しています。かつて小泉首相がナポリを訪れた時に「スパゲッティー・ナポリタンを食べたい」と言ったそうですが、出してもらえなかったという話があります。つまり白いワイシャツを汚す可能性が高い為に、ヨーロッパではスパゲッティーは正式な食事の場では出しません。
だから真面目なイタリアかぶれをしているイギリス人がシャツを汚さぬようにイタリア旅行を夢見て裸でスパゲッティーを食べる練習をしているのです。
このようにオート・マタには色々なストーリーがあり、西田さんは映画の中のストーリーを作品に取りこむ事が多かったと思います。
「何故? オートマタなのか!」
私たちはモノづくりの考え方が重要だと思っています。ところがモノづくりが出来ない子供たちが増えて来ているそうです。一番の危機感を持っているのがイギリスだと言います。
産業革命を起こした国にでモノ作りが出来なくなっている原因は何か!?
その一つは最近の子供のおもちゃにあると思います。つまり最近の子供のおもちゃの主流はコンピューターゲーム。子供たちにとってはゲームはブラックボックス化されていて、どうやって動くかわかりません。
わからないと考える事をしなくなると言います。そこでイギリスでは小学校高学年、中学の低学年で紙製のオート・マタを教材に使用してモノの動く仕組みを教えていると言います。
日本も近いうちにオート・マタの必要性が認識されるのではないかと考えています。そうなれば日本中から来て頂けるのではないかと考えています。そのきっかけが「ヒュウゴの不思議な発明」になれば良いなあと考えています。