【 なぜ有馬温泉でB級グルメなのか? 】
長引く平成不況のためか、このところB級グルメにスポットが当たり続けています。なにせB級グルメの経済波及効果は60億円をもたらすといわれています。そして旅に出かける動機が温泉を抜いて“美味しいモノ食べに行く事”が一番になりました。
色んなタイプの温泉旅館やホテルが立ち並ぶ有馬温泉では、これまで神戸牛、明石や淡路島の魚介類、浜坂漁港の松葉蟹など、いわゆるA級素材を使った料理を提供しており、全国各地から訪れるお客様からは高い評価を得ていました。
とかく温泉地は、非日常を愉しむ意味もあって“贅”や“ゆとり”といったコンセプトから料理を作り続けるのが常。
ただ心や身体を癒す旅館・ホテルでは、それも必要でしょうが、昨今流行の日帰り旅行や、宿泊者の街歩きに至っては、もっともっと安価で味わえる何かが必要なのでは…と考えたのです。
そこで有馬温泉では、活発化しているB級グルメ戦線へあえて参戦。
温泉街で営業している喫茶店、お好み焼屋、鉄板焼き屋など色々な飲食店で、有馬温泉ならではのB級グルメを販売することにしました。
「金麺」「銀麺」と名づけられた焼きそばは、勿論、金泉、銀泉にちなんだもの。
和食の世界で、“有馬”と銘打てば、山椒の料理を意味することから、この2タイプの焼きそばには、山椒の風味を持たせました。
有馬温泉では、かつてこの地域に山椒が自生していたという歴史的事実をふまえ、有馬山椒の原種を六甲山から採取してきて、兵庫県の協力を得て育てて有馬温泉に植え、いずれはその復活を目論んでいます。
その有馬山椒プロジェクトの一環として開発されたのが「伝来・有馬山椒オイル」。
そして有馬温泉ならではのB級グルメ「金麺」「銀麺」も「伝来・有馬山椒オイル」を使ったものです。
ともに山椒の風味が利いたピリ辛グルメで、濃厚でしっかりとした辛さが好みの方には「金麺」が、あっさり味が好みの方には「銀麺」がオススメです。
有馬温泉のエッセンスが入った「金麺」「銀麺」の2タイプの焼きそばを街歩きの際に、また昼食としてぜひ味わってみてください。
【 温泉街あげてのB級グルメ開発 】
有馬温泉の街歩きの愉しみとして考案されたピリ辛味の焼きそば「金麺」「銀麺」は、これまで全国的に有名になった富士宮焼きそばやなみえ焼きそば、横手焼きそばといったB級グルメ・焼きそば部門に一石を投じたもの。
それらの焼きそばが全て店舗発だったのに対して、こちらは有馬温泉観光協会が開発し、町をあげての取り組みとして販売しています。
かつて辻学園TEC日調で教授を務めた経験もある藤本喜寛さんに新B級グルメ開発を依頼し、その試作品をもとに有馬温泉観光協会で意見を出し合いながら作ったものです。
そしてできあがったものを有馬町にある地域福祉センターで、講習しました。
ある有名店が考案し、そのダミー版を色んな店で出し始めたという従来のB級グルメの普及とは、今回はちょっぴり異なり、まさに町をあげての取り組みにしています。
「金麺」が味噌味で、「銀麺」が塩味、そして新しいお土産品でもある「伝来・有馬山椒オイル」を使用するという共通コンセプトは踏襲しつつも、そこは料理ですので、各店舗の個性を加味する仕組みに。
きっと温泉街で出される「金麺」「銀麺」は、オリジナリティのあるものになるはずです。
お腹に余裕のある人は、各飲食店に入って食べ比べをするのも一興。喫茶店で出すもの、鉄板焼き店で出すもの、旅館関連施設で出すものと、その個性を比較するのも、有馬温泉ならではの愉しみ方です。
【 金泉、銀泉にちなみ、新名物も「金」と「銀」が登場 】
さて、肝心の山椒焼きそばの味ですが、料理の柱となっているのは、新たにお目見得した「伝来・有馬山椒オイル」です。
これは植物オイルの中に山椒の粉末を加えてじっくり加熱したもので、オイルは当然、山椒の香りと味がします。
これを炒める時に用いたり、仕上げに使用したりしたのが、有馬温泉の新名物となる「金麺」「銀麺」なのです。
「金麺」は、赤味噌と白味噌を合わせたものをベースにした濃厚な味わい。神戸をイメージする切り落とし牛肉を使い、キレのある辛さに仕上げています。
一方、「銀麺」は、「金麺」より辛さも抑え気味で、すっきりした塩味に。従来、焼きそばの定番であったソースや醤油より山椒オイルの風味がいかせるようにと、シンプルに塩ダレで炒めています。
「金麺」が牛肉を用いているのに対し、「銀麺」は豚肉で。
「銀麺」の方は、むしろ塩ダレに合わせた具材を選んでいるのです。
「金麺」「銀麺」とも麺は、太めのストレートを。
細麺だと味が乗りすぎ、歯応えもあまりないことから、あえて味の絡みがいい太麺を使用し、存在感のあるB級グルメにしました。
「金麺」も「銀麺」も具材はキャベツ、玉ネギ、太モヤシで。
これに肉類が合わさることで、麺、タレ、野菜、肉のバランスのいい料理にしています。
あえて具材の種類を4つにしたのは、山椒焼きそばの味をボケさせないがため。
しかもどんな業態でも出せるようにシンプルな品揃えにしているのも特徴です。
特製の味噌ダレで炒めた「金麺」は、仕上げに粉山椒と青のりを振って辛さのインパクトを付け、一方、特性の塩ダレで焼きあげた「銀麺」は、粉山椒と粗挽きブラックペッパーを振って「金麺」との味の違いを強調しています。
「伝来・有馬山椒オイル」は、特性として加熱した方が風味も増すので、炒める際の油として使うことで、新有馬名物の個性を引き立たせました。
全国津々浦々で、あらゆる焼きそばがあるようですが、これまでありそうでなかった有馬独自の焼き味。
この味を求めて気軽に有馬温泉に訪れる人が増えてくれれば…と願うばかりです。
御所坊グループでは有馬玩具博物館の2階の有馬食堂で、金麺・銀麺を販売しています。
またニュールンベルグバーでも有馬食堂から配達し、食べれるようにしています。ちょっと小腹がすいたときにお勧めです。
有馬食堂 078-904-3916