有馬の高温の温泉は、滝川と有馬川に挟まれた三角形の中心部にしか湧かない!
この模型は大阪の上空から有馬温泉を見るとこのような感じで見えると思います。
高温の温泉とは100℃近い湯です。
有馬の温泉は地下60km下の上部マントルから湧き出ています。
中央に表示している薄いブルーの部分は地下から地表面に出ている流紋岩です。
その流紋岩の地表の部分が有馬の中心にある。天神山です。この流紋岩に沿って有馬の温泉が湧き出ています。
温泉は海抜0メートル、150メートル、370メートルの所で、横方向に広がっています。高さは約30センチです。
現在の有馬の主要泉源。御所泉源、天神泉源、うわなり泉源、極楽泉源、有明1号、2号といった泉源は、海抜150メートルの所で横方向に広がった層から湧き出ています。各泉源の井戸の深さが違うのは地表面に凸凹があるからです。つまり上部マントルから湧き出る湯量は同じなので、どこかの井戸からたくさんくみ出すと干渉して他の井戸に影響を及ぼします。
太閤さんや谷崎潤一郎はこの高温の温泉に入っていたのか!?
太閤さんや谷崎が入浴していたのは地表面にある海抜370メートルの所の層からの温泉です。
地表に近いほど雨水の影響を受けるので、温泉が薄められ濃度が下がり温度も低くなります。金の湯の前にある温泉を飲んで頂ければご理解いただけると思います。この温泉は深さ16メートルほどの井戸から出ている湯です。
しかし現在この地表に近い層の温泉はありません。というのは白い☆の部分をご覧ください。370メートルの層の所に四角いものを立てています。1950年代からの大型の建物を建設する際に地下の基礎が温泉の層を破ったために出なくなってしまったのです。
六甲川から東側。
この写真でいうと右下の方になりますが、東側に斜めに断層があります。それに伴って温泉の層が斜めに折れ曲がっています。この為に温泉の井戸を深く掘らないと層に行きつきません。そして六甲川の川の水が混ざる為に温泉の温度が低くなります。
また射場山には射場山断層があります。この断層の為に有馬の三角地帯は折れ曲がるようになっています。それに伴って温泉の層も折れ曲がります。すると中心の井戸よりも深く掘らなければ温泉の層に行き当たりません。しかしここには川がないので温度は中心部と同じように高温の湯が沸きます。
西側の部分は滝川の所で90°に折れ曲がっている為に、滝川の西側では温泉が湧かないということになります。
有馬の温泉を有効利用する為には、温泉の湧出の仕組みを理解して、温泉の層を潰さないようにしなければなりません。もし潰せば・・・「海抜0メートルの所の湯を汲み出せば良いじゃないか!」とはいきません。
0メートルの所の温泉の層の湯は、もっと温度が高く、濃い為に今の様に炭酸ガスの力で自噴させることはできません。また今でも出来ないのですから、ポンプやモーターを使って汲み上げる事も出来ません。つまり現在の温泉の層を潰した時は有馬温泉の歴史がストップする時と言えます。